私を公に優先させる。結局「政治ごっこ」
2011-06-04


母の治療費必要…市長が自らの給与削減見合わせ
読売新聞 6月3日(金)23時42分配信
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> 岡山県備前市の西岡憲康市長(70)は3日、選挙公約に掲げ、2005年の初当選時から続けていた給与の30%カットを、見合わせる意向を明らかにした。
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> 3年前に入院した母親(102)の治療費が毎月20万円程度必要なことが大きな理由としており、西岡市長は「我が家も財政的に厳しく、やむを得ない。事情を説明すれば、市民は理解してくれると思う」と、苦しい胸の内を明かした。(以下略)

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 いや駄目だろう、これ。

 もし、この記事を読んだ人で、この市長を支持したり立派だと評価する人がいるとしたらそれは最悪だと思う。
 目の前の「美談のような話」に踊らされて本質を見る事ができない人だということだから。

 お涙頂戴が好きな日本人からすれば「これくらいいいじゃないか」というのかもしれない。
 だが考えて欲しい。
 この理由が認められるならば、公務員でも「親の介護」や「子どもの教育」などで費用がいる場合、それを理由に「給与削減」を無かった事にできるのだろうか?
 また民間でも「母親が病気なんです」と言えば、今の時代、下げた給料をあげてもらえるのだろうか?
 社長が、社員の給料はカットしながらも「親の介護があるから自分だけは元の報酬に戻す」などという主張が「まともな企業」として通ると思うだろうか?

 そんな事はまずありえない。

 一見美談に見えるが、これは完全に市長が「私事」で「公務」を恣意的に運用し始めたことに他ならない。
 なぜ私事をもって公を恣意的に運用できると思っているのだろうか。

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 もし、この話を当然認めるべきだと言うのであれば、他の地域でも公務員制度改革等においても「個々の事情」を鑑みて給与体系を見直すべきであり「公務員だから」という理由で一律カットするような今のやり方は否定されなければいけないだろう。
 「親の介護」など負担がある人は救われるべきなのだろうから、当然、今までどおり支給すべきだ。
 そうでなければ筋が通らない。
 それとも「公務員だから」という理由だけで、「親の介護」に給料を上げる必要などないなどというのだろうか。それでは単なる職業差別でしかない。

 正当な理由などなく一方は美談として受け止め一方は叩く。それでは、まともな社会など築けないだろう

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 今回の西岡市長の行為は「自分の都合」で「自分の公約」を放棄し、「報酬」を恣意的に運用するという、明らかに非難されるべき行為でしかない。

 自分の都合で政治をころころ変える市長。
 所詮、政治ごっこでしかなかった人なのだろう。

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 (後から何故立候補したのか分からないが)大阪高槻市で妻の介護のため「公を優先できないから」という理由で辞任した江村元市長や、「家族の健康問題」という理由で引退した千葉柏市の本多元市長などと比べると、西岡市長の今回の行動は明らかに問題ではないだろうか。
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いつまで持つか分かりませんが、他の新聞社の記事
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