「エコ」でなく「エゴ」…消費者の
2009-06-23


結論としては、一旦、在庫処分により利益が上がったように思えても、最終的には体力の無い店舗からどんどんと脱落していく。
 しかも、ここで言う「体力の無い店舗」とは「見切り品を出してしまうような店舗」に他ならない。

 実は「見切り品制度」を導入するという事は、「自ら死刑執行書にサインする」「チキンレースに突入する」という事を選んだだけの話でしかない。

 これを理解しているからこそ、フランチャイズ本部やきちんと経営している店舗ほど安易な「見切り品制度」は賛成できないのだ。

 だから「見切り品」制度を推進している人達は、根本原理を理解していないと言っていいだろう。

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 では、どうするか。廃棄物は諦めればいいのか。

 確かに「廃棄物を諦める必要がある」と私は考えている。
 ただしそれは「コンビニという制度を維持する」ためにという条件の下での話。

 もし、廃棄物を減らすのであれば、自然ともう一つの方法に落ち着く事になる。
 それは「供給数を減らす」という方法だ。

 供給数が減れば、自然と廃品は発生しなくなる。
 供給より需要が増せば売り切れて何も残らない。
 非常に単純な論理だ。

 だがこの場合も当然リスクがある。
 まあノーリスクの商売など存在しないから当たり前だが。

 それは「売り切れ」というリスクだ。
 これは「販売機会のロス」と言われているが、ここでは購入者側の視点に変えてみる必要があるだろう。

「需要>供給」という事になる以上、当然「買う事ができなかった」顧客が存在するようになる。
 この時、買う事ができなかった顧客はどうするだろうか?
 搬入まで待つか?

 そんな事は無い、結果は単純。「他の店舗で購入する」だけだ。

 この状況が続けばどうなるか。
 恒常的に購入可能性が低くなった客は、自然と「購入可能性の高い」お店へとシフトする事になる。
 
 結果的に「客離れ」が発生していく事になる。

 供給数を減らす>購入できなかったお客が離れる>需要数が減る>更に供給数を減らす必要が生じる。
 この形での悪循環が発生するリスクが生じるのだ。

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 とはいっても、実はこのリスクはそれほど問題ではない。
 実際に「購入できる客」自体が減少しないように努力すればいいだけだから。

 この努力こそがコンビニの生命線の部分。
 これは実は「需要=供給」に近づくようにする事を意味している。

 このために導入されているのがPOSシステムによる「発注予測の管理」に他ならない。
 だから実際には、「コンビニ」で今行われている事が「ほぼベストの方法」でしかないという結論がここにはある。

 コンビニがコンビニであり続けるかぎり、今の方法以外の方法はない。
 もし、違う方法でというならば、それは「コンビニ」をやめるという事にしかならない。
 つまり「コンビニ」=「利便性」に制限をかけ、「コンビニ」=「他の利点」へとシフトさせる以外に無い。

 「利便性を失ったコンビニ」、これを消費者は利用するのだろうか。
 非常に疑問が残る問題だ。

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さて、色々言っているが、今のセブンイレブンに文句をつけている消費者についても言いたい事がある。

 本来、「もったいない」とか「エコ」の論理でいえば、「余るほど仕入れるな」が先に来なければおかしいのではないだろうか。

 なぜなら「余らせる事態が発生する」状況そのものが「もったいない」状況なのだから。

 ならば、今回見切り品を販売する加盟店の人たちに対して、賛美を送るのは本来おかしな話だろう。
 なぜなら、彼らが「余るほど発注」しているのだから。


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