「Shall we ダンス?」 振り付け著作権めぐり提訴
5月25日8時1分配信 産経新聞
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さて、この問題。よくわからない人が多いと思います。
で、なるべく簡単に説明したいと思います。
……説明できたらいいな。
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ポイントは次の2つの条文です。
著作権法
第十条 この法律にいう著作物を例示すると、おおむね次のとおりである。
三 舞踊又は無言劇の著作物 (他略)
第十六条 映画の著作物の著作者は、
『映画のために翻案され、又は複製された(略)音楽その他の著作物の著作者』を除き
『制作、監督、演出、撮影、美術等を担当して(略)全体的形成に創作的に寄与した者』
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まず、この映画上の「わたりとしおさん」振付のダンスが著作物であることは、10条の3ですぐ理解できるでしょう。(というより、ダンスが著作物だというのは常識です)
次に問題なのはこの「著作物」が、わたりとしおさんの物なのか、角川映画の物なのかという事です。
これは16条の問題です。
このダンス部分が、前半の「映画のために翻案された音楽その他の著作物」となるか、後半の「演出」に過ぎず独立性の無い部分(映画がないと成立しない部分)と判断するかによって、どちらのものかに決まります。
で、ここからは私見ですが、明らかに「独立した創作物」だと私は考えます。
(ダンス部分は映画が無くても存在・成立できる)
映画のために作られましたが映画が無くても存在できる、つまり「映画のために翻案された(または複製された)著作物」なので、私は「わたりとしおさんの著作物」と判断するのが妥当だと考えます。
ですから、もしこの「ダンス」を演じるのであれば、それは角川ではなくてわたりとしおさんの許可を取る必要があるでしょう。
>>「独創性や創作性は明らかで、私が振り付けの著作権者」と主張。角川映画側と振り付けに関する契約書は交わしていないが、脚本家と同様に二次使用料を受け取る権利があるとしている。
(本文抜粋)
と言っていますが、まさに「正当な主張」です。
権利譲渡契約が無い以上、創作者である「わたりさん」に帰属するものであり、自然に角川に帰属するものではありません。
このあたりは、映画に挿入された音楽などについて作曲家・作詞家に権利帰属するものであり映画制作者に帰属するものではないのと同じ考え方が採用されると思います。
というか、採用せずに「企業側有利」な判決を出すようでは、「映画関係については、創作者保護をしない」という事になってしまいますので、クリエイターが映画制作から一斉に手を引くようになります。
……結局、日本の映画創作産業はさらなる衰退を招くでしょう。
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>>日本振付家協会の宮崎渥已理事長は「振付家の著作権は規定が確立されておらず難しい問題。最初に書面を交わすなど、振付家側も意識を高めていかないといけない」としている。
(本文)
まさにその通りだと思います。サービス企業の大きな社会的・財政的権力で個々の創作者が潰されていく。
この状況はどうにかするべきでしょう。
彼らが財政的権力で来るのならば、こちら側は法的権力で対抗するべきだと思います。
もう少し、創作者側も「創る事」だけに専念するのではなくて、「生み出した子」(自分の作品)を守ってあげる事も考えませんか?
……とはいえ、私的利用で2次創作をしている人達までいじめるような事はしないでもらいたいものですが。(自分もそうだし)
私的趣味といいつつ、金儲けしている同人ゴロは潰してもいいと思うけどね。
というか、言ってくれれば潰すの手伝うけど。
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にしても、この問題どれくらいの人が取り上げてくれるだろう?
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