セブンへの排除命令、コンビニ経営に打撃 事業モデル転換迫る
6月22日22時21分配信 産経新聞
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さて、この記事。
賛否両論というより「値引きする方が当然」という意見の方が一般には多いかもしれない。だが自分としては、この排除命令が与える各店舗への影響について少々危険を感じている。
というのも、この命令によって「コンビニ」の事業システムそのものが揺らぐ怖れがあるからだ。しかもそれは「本部」のシステムではない。個々の「各店舗」におけるシステムの方で、の話だ。
「コンビニの基本」は「いつでも同じ商品が同じ条件で手に入る」という事にある。
この考え方は「販売機会のロス」を無くす事を前提としている。
購入者からすれば、「購入機会」をロスしないようにコンビニが努力する事を意味している。
コンビニの有名なキャッチフレーズ「開いてて良かった」とはこういう意味だ。
実際、コンビニでは「いつでも手に入る」事を維持するために「売り切れ状態」(棚が空欄になる事)が極力発生しないようにされている。
これはコンビニに行ってみればよく解るだろう。
深夜ないし次の入荷間際であっても、コンビニにおいては「棚が空・全部売り切れ」という事はなく、必ず「何かが棚に残っている」状態が維持されている。
これは逆に言えば、「棚に残る状況を維持する」(常時完備)事こそがコンビニにおいての基本戦略だという事を示している。
もっと言えば『売り切ってはいけない』事こそがコンビニの基本なのだ。
さらに言い換えると、最初から『「余剰分が出る」事を前提としたシステム』こそがコンビニの基本システムだといえる。
「常に100を提供するために、常に101の準備をする」
これこそがコンビニの原則なのだ。
「余剰分が出る」事を前提としているシステムにおいて、「余剰分が出ないように見切り販売をする」という事を行えば、それは矛盾でしかない。
必ずどこかにしわ寄せが来る事になる。
では、しわ寄せはどこに来るのだろうか。
本部? 生産者?
違う。
しわ寄せは最終的には「店舗そのもの」に来る事になる。
それは、各コンビニにおいて「一日辺りの販売『総』量」というのは「あまり変わらない」という事実があるからだ。
単純に言えば、余剰分を値引き販売した場合、その数だけ「定価で売れていた数」がそのまま減る事になるからだ。
短期的に見れば確かに「廃品ロス」のコストを削減したかのように見えるだろう。
だが、長期的に見れば「定価販売による利益」そのものを圧迫する事に繋がる。
これは、個々の店舗経営において非常に大きな危険を孕む事になるだろう。
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……とはいえ、販売機会をロスしなければ何でも許される訳じゃない。
同じく「廃棄ロス」もコンビニでは重視されている。
「常に100を提供するために、常に101の準備をする」
のがベストであって
「常に100を提供するために、常に105の準備をする」
などというのは、ただの馬鹿がすることだ。
本来、「機会ロス」を無くすために余剰を設けつつ「廃棄ロス」を減らすという一種矛盾した状況を満たす方法として考えられたのが、POSシステムによる予測発注システムだ。
この「ギリギリ」を見越して発注することこそが、各店舗における成功の秘訣だとも言える。もしこの時、廃棄ロスが大きく出るとしたら、それは発注ミス以外の何物でもないだろう。
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