「明確な基準」は国外退去
2009-03-14


のり子さん残し父母のみ帰国へ カルデロン一家
3月13日14時51分配信 産経新聞
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さて、この記事。
自分が追うのを忘れていたために、昨日取り上げられなかったのだが、今日の朝刊(読売)に馬鹿らしいコメントが載っていたので取り上げたい。

まず、『冷たい』という人がいるかもしれないが、この話、「基本は国外退去」が当然。

これを逆に考える人は、すべての前提を逆転しているとしか思えない。

この話は、
「不法に入国」>「日本にいる資格無し」>「国外追放(退去)」
この流れがすべての前提だと言う事だ。

もっと簡単にいえば、
「法に触れる行為をした」>「法に基づいて処罰された」
コレだけの話。

ただ、
「法に触れるにあたり、様々な要因があった・また社会的に見て仕方が無かった」>「基本法の処罰では厳しすぎるのでは?」>「情状酌量し減刑処分」

この流れが、例外的『法律の弾力的運用』として認められていて、これを適用できるかどうか?
というポイントの話だ。

 ここで問題なのは、この「情状酌量」の用件を『明確化できるか』という話。
 考えたらすぐわかると思うが、こんなもの「定型化」できる訳がない。

 「人を一人殺した」という「殺人」であっても、その状況は千差万別。
 その状況によって刑罰(量刑)範囲が変わる。
 「情状酌量され執行猶予になる」場合もある。

 ここで、「この用件を満たせば必ず執行猶予」などと『すべての情状酌量基準の明確化』など決める事ができるだろうか?
  
 この場合、「違法性が無い」として明確化しているのは「正当防衛」と「緊急避難」の場合だけだが、それ以外の『違法』状況において『情状酌量基準の明確化』なんて、できるはずがない。
 というか、できると言う人は「もれなく作ってみて」欲しい。可能なら司法関係の人間すごい助かるから。
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 今回の一見について言えば、「両親」は最初から「違法だとわかって入国し、過ごしていた」事実、「本人がわかっていて違法を行った」事実は覆らない
 一方、「生まれてきた子」のり子さんについては、のり子さんが「違法だとわかって生まれてきたわけではない」から、「本人に責任がない違法状態」。

 だから「解っていて法を犯した」両親については「情状酌量の余地無し」。
「解らずに法を犯していた」のり子さんについては「情状酌量の余地あり」。
 という判断になる。

 さて、このどこに問題があるだろうか?
 どこにも問題がない。というか、これで問題があったら「法による処分」なんて一切不可能。

「解らずに罪を犯した一人」のために「解って罪を犯した二人」も、「無罪放免にしろ」。
 これが今回『在留特別許可を全員に与えろ』と言っている人の論理。

 確かに、状況によっては(解らなかった人の罪があまりにも大きすぎる時とか)は、「解っている人の罪を無罪放免」にする事もできるだろう。

 ただ、どうやっても「常に状況を比較して」という事が必要だ。
 これを「定型化」する事。いつでも「解らずに罪を犯した一人」のために「二人も無罪」と言う風に定める事なんてできはしない。

人道的だの美辞麗句でごまかそうとしているが、「在留特別許可の明確化」などと言っている人は、単なる「馬鹿」と言っていいだろう。

『在留特別許可』は、正規『在留許可』を「正当に取得できない」人、つまり「不法に入国・滞在している人」の「不法に対する処分」(国外追放)を『減刑』するための『情状酌量措置』に過ぎないと言う事を、もう一度しっかり理解して欲しい。


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