マクドナルドが始めた60秒ルール導入に見る、外食産業の生き残り戦術!保田 隆明
ダイヤモンド・ザイ 1月5日(土)14時21分配信(Yahoo)
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今回のキャンペーン、客からも現場からも不平の山なのは当然だろう。
なぜなら間違った方向性に進んでいるからだ。
まあマクドナルドの馬鹿さ加減は色々なところで語られるので、ここでは置いておくとして、問題なのはこの記事の方。論外の方向に進んでいるとしかいえない。
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各店舗のカウンター数や宅配用のバイクの数は限られている。売上を伸ばすには、客単価を引き上げるか、オーダー数を増やすしかない。今まで90秒で商品を届けていたところを60秒に短縮できたなら、単純計算すると売上は1.5倍になる。もしオペレーション上のコストが変わらないのであれば、増えた売上はそのまま利益となる。
(記事より)
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今まで「90秒で処理していた」労働者(バイト)に「60秒で出すように指示する」しかも何ら機材の効率その他は変えずさらに給料もそのまま、確かにコストは変わらないかもしれない。だがこれは、単に「1オペレーションあたりの労働報酬を下げている」ということになる。これを賞賛するのはいかがなものだろうか。
『売上増に貢献したバイトの報酬は実質低下させる』のが、正しい経営戦略。
この記事を書いた人は「もっと社畜を増やすべき」といいたいのだろうか。
「社畜」奨励を公言するとは大したものだと思う。
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マクドナルドはこれ以外でも携帯で事前にオーダーできるサービスを開始したり、客が店頭のカウンターで迷う時間をなくすためにカウンターからメニューを撤廃するなど、客からオーダーを受ける時間の短縮化に懸命である。それは全て回転率の上昇のため、と言える。
今や事前に集めた豊富なデータを基に、マクドナルドに来店する客のオーダーの傾向を分析し、例えば、「見た目は30代男性、スーツ、1人で来店」など、その顧客が注文するであろう商品を事前に予測することもある程度は可能であろう。
そうなれば、さらに商品を提供する時間は短縮化できるかもしれない。おそらく将来の行き着くところは、そういう姿だと思われる。今回の60秒の取り組みはそういう最終型に向けての一里塚と思われる。
その他、客のオーダーする時間を短縮化するには、メニューのシンプル化があげられる。メニュー数が少なければ少ないほど、迷う必要はない。
(記事引用)
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これは端的にいえば「客にメニュー選択する自由を狭めた」結果、達成されることになる。
『客の回転率を上昇するため客の自由を奪う』事が正しい経営戦略。この記事を書いた人物はこう言いたいようだ。
最後は『客に選ばせず、店側から事前に予測した商品を売りつければいい』とすら言っているようなものだ。
確かに、客商売のお店で客に選択させる自由を奪うために「ラーメンのみ」や「コースのみ」という店は多数あるが、これが「経営として正しい姿、飲食店として正しい姿」などと思うのだろうか。
そもそもこのような押し付け店の場合、その押し付けメニューを好まない客は二度と来なくなる。
結果、客数自体は減少するというのが、一般的に言われていることだ。このような話すら知らないのだろうか。
今回の記事、明らかに記者の見識を疑わざるを得ない。
この程度の認識で記事を書いているのが「ダイヤモンド社」の記者の一般的な能力だとしたら、ダイヤモンド社は非常に問題のある出版社ではないかと思う。
※調べたところ、この記事を書いた保田 隆明氏は、小樽商科大学大学院(MBA) 准教授で、いくつかの文献も出しているらしい。
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