都合よく民意を使い分けるのはやめよう
2012-01-12


橋下市長、原発住民投票署名「住民投票は疑問」
産経新聞 1月10日(火)14時55分配信
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原発住民投票、署名集まる…橋下市長は否定的
読売新聞 1月10日(火)12時3分配信
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 本当に民意がどこにあるのか確認するのは、首長としての義務ではないだろうか?

 橋下市長は、自分に都合のよい結果を出すために「民意を問う」と言い続けてきた以上、今回の件も、本来は「民意を問うべき」だ。

 そもそも「自分と同じ方向性」であるなら、民意の表明が得られる事は自分にとって確実な利益であり、たとえ費用がかかったとしても、それは橋下市長の責ではなく、住民投票を要求した市民全体の責でしかない。

 つまり本当に「民意と一致」しているのであれば、何も問題はない。

 それなのに、今回、橋下市長は「民意に反し」住民投票に否定的である。

 これは、いかなる理由によるものだろうか。

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 私は「原発容認」という結論が出る可能性があるからだと考えている。

 単に原発反対を声高に言う人もいるが、現実問題として「現行の原発による電気供給が減少しても、大阪府下、大阪市下の経済に対する影響はまったくない」という事はありえない。

 そのため、経済活動を主体としている「法人」(企業)およびその従業員が多く存在する大阪市においては、「そうはいっても経済活動上、電気は必要である。緩やかなエネルギー政策の転換は認めるが、代替案無き廃止の方向は遠慮する」という意見も、また多く存在する。


 実際、佐賀の九州電力問題にしても、やらせメールを除いた数値で言えば

 総数:308通 賛成:145通 反対:163通
 賛成:47.1% 反対:52.9%

 と拮抗している。

<自記事:それでも再稼動「賛成」が4割いるという事実 (九州電力問題−3) ― 2011年07月31日 11時46分32秒>
[URL]

 当時の、ヒステリックな状況ですら拮抗状態である以上、現状でも勝敗は5分5分と考えた方がいい。

 このような状況下で、仮に住民投票を行った場合、たとえ買ったとしても「僅差」であれば、「圧倒的に民意を得ている」などと主張できなくなるし、ましてや負けてしまえば「民意は橋下市長には無い」という事になり、進退問題にも関わってくる。

 これを橋下市長は恐れているのだろう。
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 橋下市長は公務員批判や都構想という夢物語を打ち上げ、「小泉元首相の郵政民営化総選挙」と同じ構造を作り上げ、「民意は我に在り」というメッセージで勝利した。

 そのため今の橋下市長にとっては、「自分と民意が必ずしも一致しているとは限らない」という事実が表面化してしまうのが、一番のダメージになる。

 だから「民意が明らかになる」住民投票は「避けたい」というのが、橋下市長の本音だろう。

 だが、ここで住民投票から逃げ出してしまえば、それは「選挙前の姿勢・言動」と明らかに方向性が違う事を広く示してしまう。

 そうなれば、狂乱に沸く府民・市民はともかく、冷静に判断をし始めた人からすれば「橋下市長のメッキがはがれ始めた」と判断する事にも繋がるだろう。

 結局、市民が「民意」として住民投票を請求してしまった事が、「民意」を煽り立てる事によって勝利した橋下市長の足を自ら引っ張る結果となりつつある。

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 民意を煽った結果、誕生した橋下市長が、その民意によって苦しむ事になるというのは、なんとも皮肉な話だ。

 「郵政民営化の時の小泉首相」の二の舞で終わるかどうか、それが今後の見所だろう。



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