なんのために創業したのですか?
2008-01-10


学研の地球儀から台湾が消えた? 中国が圧力「島」に変更
1月10日10時59分配信 産経新聞
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「学研」(東京都大田区)グループが国内向けに販売した音声ガイド付きの地球儀が、中国政府からの圧力で台湾を単なる「台湾島」と表記していたという事件。

この中国の行為を「圧力であり問題だ」と考える人がいるかもしれないが、私からすれば文句を言う方が筋違い。
至極『当たり前』の事だと思う。

台湾の扱いについて言えば、中華人民共和国が昔から「自国の領土」と主張している事は国際関係を知る者からすれば誰もが知る事実だし、台湾が「国家」としてはまだ正式に認められていないという事も事実だ。

この状況で「中国内部」で製品を作っている以上、中国政府が「適正な表示を行うこと」と要求してきても拒否する権利自体、本来、学研側に存在しない。

これを「変だ」という人は、ローカルルールの原則を理解していないのだろう。

なぜなら、この件は見方を変えれば次のような状況を想定する事にもなるからだ。

 例えば、日本国内でアメリカや他国の正式ライセンス生産で「核兵器」を製造したとする。
 当然、日本国としては「非核3原則」に基づいて「核兵器の製造」をその業者に対し要求するだろうし、国外への搬出を抑えようとするだろう。
 一方、生産する企業からすれば「依頼した国からの正式なライセンスがある以上、作る権利がある。日本の法や主張は適用できないはずだ」と主張するだろう。

この時「使われるのは日本以外の国だから別に作られせても構わない」と、企業活動の正当性を認めるだろうか?

当然、このような主張は認められない事が、理解できるだろう。

それぞれの国にはそれぞれの法や社会理念があり、その国で活動する場合、活動する国の法に従わなければならないというのは、国際的理念上の常識だ。

したがって今回の一件も、その生産場所が中国国内である限り、中国の権利義務に従うのは当然であって、中国の主張が正しい。


さて、ではこの問題はどこにあるのだろうか?

私は「学研」が安易に「コスト削減」に走ったことに問題の本質があると考えている。

「安く生産できるから中国で」とコスト削減を考えることは、企業としては当然の事だと思う。しかし「コストを削減するため」といって欠陥商品を作って流通させても構わないという事はない。

 適当にでたらめな名前を書いた地球儀を「形があっているから別にいい」と販売した「おもちゃ」ならまだしも、このレベルでの地球儀ともなれば、日本国の地球儀として販売する以上、ここで書かれている地図内表記は「日本国ではこのように地名を認識している」として取り扱われるのが基本だ。
 にも関わらず、間違った地名などを教えることは、地図や地球儀製作会社としての社会的責任や製品に対する責任を全く無視したものだとしかいえない。
 これを「別紙で訂正メモを入れてあるからいいや」と考えるのは、明らかに製作企業としての考え方に問題がある。

『荒廃した日本を再建するには、次代を担う子どもたちの教育が最も大切だ』
学研トップメッセージ 代表取締役社長  遠藤 洋一郎 より抜粋

これが学研の基本理念のはずなのだが、その裏で、
『安く教材が作れるならば、教育も適当に間違った事を教えてもいい』
と考えていた学研グループ。

この考え方は教育産業企業として非常に問題があるのではないだろうか。

だが一方、これは学研だけの問題なのだろうか。

 今、日本の企業のほとんどが「利益があがれば、自社の企業理念そのものを踏みにじってても構わない」と考えているのではないだろうか。

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[社会]

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